大雄山―天狗と烏天狗の謎

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かねてから行ってみたかった、大雄山最乗寺に参拝した。

大雄山最乗寺は曹洞宗の寺院。樹齢300年を超える杉の木が立ち並ぶ霊山である。

到着して車を出てまず感じたのが、すーっとした冷気。気温・湿度という次元を超えた「霊気」とでもいおうか。この空気を思い切り吸い込むだけで、ここが非日常的な空間であると認識させられる。

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境内はきれい。他の参拝者もそれほどいなかったので、のびのびと回ることができた。夏や正月は混雑するらしい。

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大雄山MAP。境内から奥の院へ続く参道に沿って、様々な建物が並んでいることがわかる。ご本尊の釈迦三尊に礼拝し、参道を登っていく。

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水神が祀られているという池。水の音が涼しげ。マイナスイオンが噴出している。

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参拝路を辿っていくと、結界門の前に有名な天狗と烏天狗の像が。

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左方(向かって右側)に、扇を持ち、口を「阿」の形に開く天狗。衣類が風になびく様が躍動的。扇を盾のように持ち、守りの姿勢をとっている。どことなく、奥深い知性を感じさせる。巻物(経典)を持っており、文武両道の「文」を司っている。

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それに対し、右方の烏天狗は剣を振りかざした攻めの姿勢。文武両道の「武」を司る。天狗のような衣服ではなく、鎧をまとっており、逆立った毛髪は並々ならぬ覇気を感じさせる。剣の柄の部分がヴァジュラ*1の形になっている点も見逃せない。口を「吽」の形に閉じている。

この天狗・烏天狗の像は狛犬と同様、左右の像がそれぞれ「阿吽」の呼吸をすることで、陰と陽のバランスを保っているのである。他にも、垂れた髪と逆立った髪、右足・左足をそれぞれ前に出している、腕の形が時計回り・反時計回りなど、様々な対概念を発見することができる。

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門をくぐり、77段の石段を登ると、御真殿が。太鼓を叩いて読経しているところだった。太鼓にも扇の紋が入っていた。御真殿の脇には、巨大な高下駄が所狭しと並んでいる。夫婦和合の信仰から奉納された物だそうだ。

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日月和合の錫杖。いうまでもないが、陰と陽の概念を融合させることで全宇宙を表現した物。

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長い石段にさしかかると、ここにも天狗と烏天狗が。

写真がピンぼけしてしまったのが残念なのだが、この二体と、先ほどの二体のポーズを比較してみたい。両者とも、先ほどの物とさほど違いはないように思えるが、装飾に微妙な差異が見られる。

まず、烏天狗が鎧ではなく着物を着ている点である。そして、両者の衣服についているボタンの数を比較すると、烏天狗に3つ、天狗に2つと数が異なることがわかる。奇数は陰(男性原理)、偶数は陽(女性原理)をそれぞれ象徴しているのである。

次に、烏天狗が手を開き、天狗が手を握っている。人は手を握って生まれてきて、死ぬときは全身の力が抜けて手を開く。つまり、この像は生(陽)と死(陰)を象徴しているのである。

このように、こういった守護像は一見何気なく配置されているようだが、よくよく見てみると、非常に奥深い思想に基づいて配置されていることがわかる。そして、見れば見るほどに疑問がわいてくる。今回紹介したものはその謎のほんの一部に過ぎないだろう。

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聞いていた話では、階段がかなりハードらしいので伏見稲荷の階段を想像していた。しかし大雄山の階段は、勾配こそ急だが、そこまで長くなかったので、最上部の「奥の院」についたときには、「もうここでおわり?」と些か拍子抜けした。

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無事に十一面観音に礼拝。おみくじを引いたら小吉だった。謙虚になれと書いてあり、ハッとした。

復路は石段ではなく坂道を下山。登りよりも下りの方がきつい。膝ががくがくする。三面大黒天というのを見に行ってみたが、暗くて三面というのがよくわからなかった。麓のそば屋で食べたとろろ山菜うどんが美味しかった。おばちゃんの至れり尽くせりのサービスもやばかった。冷たい湧水を飲んで体内を浄化し、澄んだ空気を思いっきり吸い込んだことで、気が入れ替わった思いである。文字通りリフレッシュすることができた。

*1:インド神話に登場する最強の武器。稲妻に由来する。仏教では智恵を象徴する武器であり、金剛杵と呼ばれる

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