新実徳英の世界 – 螺旋を巡って…生命の原理

2009年4月25日。東高円寺のセシオン杉並。
グラフィックデザイナーの杉浦康平先生がレクチャーで出演されるとのことで、「新実徳英の世界 – 螺旋を巡って…生命の原理」というコンサートに行ってきました。

前半の演奏、対談、後半の演奏という流れでした。前半の演奏は、ピアノ、フルート、ヴァイオリンが登場。和音と不協和音を織り交ぜた絶妙なハーモニーで、気持ちよくなってほとんど眠ってしまった。

そして休憩を挟んで、作曲家の新実徳英氏、杉浦康平氏の対談。進行役は評論家の北沢方邦氏。「音楽と螺旋」を巡るお話だったのだが、とても興味深かった。我々の体の中にもいろいろな螺旋を見ることができるし、宇宙的に見ても、地球の自転、公転など、あらゆるところに螺旋、回転を見ることができる。

対談が一段落すると、杉浦氏のプレゼンが始まった。アジアの図像に見る螺旋がテーマで、おもにインド・イスラム世界の意匠に螺旋を発見する、興味深いレクチャーだった。

そして後半の演奏。まず、ヴィブラフォン奏者が登場。マレットで演奏するのかと思いきや、ヴァイオリンの弓で弾き始めるではないか?!どんな音がするのか?想像もしていなかったが、シンギングボウルのような、高い共鳴音がでる。残響音がとても長い。半音ずらして演奏するなどし、微妙な揺らぎ効果をだす。脳みその中は音の螺旋で飽和状態になる。これには本当に持っていかれた!

次に、3人のドラム隊が登場。お互いがリンクしながら、リズムを創造していく。ここでも、リズム、パンポットや位相を含めて揺らぎが生じる。

最後は、オーケストラのドラムが集合し、カオスな演奏を繰り広げた。バスドラはひたすら四つうち。いくらいいウーファーでも、このように内蔵を揺らすような低音は出ないのではないか。生楽器の素晴らしさを体感した。一見ランダムに楽器をたたいているように聞こえるが、音数が増えていくに連れて、リズムの全容が明らかになっていく。そしてテンポがどんどん加速していき!!!フィニッシュ!!非常にトランシーな楽曲。

演奏が終わった直後は皆唖然としてしまい、しばらく動けなかった。そしておそるおそる、まばらな拍手が聞こえてきた。わたしも強い衝撃をうけてしまい、拍手をすることをすっかり忘れてしまった…。そのくらいすごいインパクトでした。

全体の構成がよく考えられていたし、「螺旋」というテーマも非常によかった。最終的には音の渦に聴衆が巻き込まれていき、大きな感動を生んだ。

西洋の個人主義的音楽(12音階、和声)の行き詰まり、そしてアジア古来親しまれてきた、倍音の概念。まさにそのような観念を融合させ、西洋でも東洋でもない、まったく新しい音楽を作り出した天才、それが新実徳英氏なのではないか。音楽と音響の中間に位置するような方法論が非常に斬新だった。

帰りに、北沢 方邦氏の著書『メタファーとしての音—音楽的知の記号学』を購入した。

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Matsukin の紹介

向精神電子音楽研究家。
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