
先日、Traktor Pro と Ableton Liveを同期する方法をご紹介させていただきましたが、それに関連し、Twitterで「二台以上のラップトップを使ってAbleton Liveを同期する方法を教えて下さい」というリクエストがありました。
要は、ハードのシーケンサーをMIDI接続して同期させる方法ととまったく同じです。多少MIDIの知識があればまったく難しいことではないので、それだけを紹介するのでは能がないだろうと思い、実際のライブパフォーマンスで使えそうなセッティング例も併せてご紹介させていただきたいと思います。
まず、MIDI同期の基本にマスターとスレーブという概念があります。これは、どちらのMIDIクロックを基準に同期を行うかということです。今回はマスター側のコンピュータをM、スレーブ側のコンピュータをS1,S2と呼んで区別し、三台のラップトップを同期させてみることにします。
用意するもの
・ラップトップ×3
・Ableton Live×3
・MIDIインターフェイス×3
・MIDIケーブル×2
ラップトップは、必要な台数を用意して下さい。MIDIインターフェイスは、オーディオインターフェイスに内蔵されていることが多いです。もし内蔵されていない場合は、USBで簡単にMIDIポートを増設できる製品が各社から発売されていますので、こちらを利用するとよいでしょう。とりあえず、ラップトップ一台につき、MIDI INとMIDI OUT(THRU)ポートが一つずつあれば大丈夫です。今回は、マスター側にMIDI OUTが2ポートある前提でご説明いたします。

CAKEWALK ( ケークウォーク ) / UM-2G(MIDI 2IN 2OUT)
マスター側の設定
まず、マスターの設定をします。MのLiveを立ち上げて環境設定を開き、MIDI Syncタブを開きます。

今回はとりあえずMIDIクロックの同期だけをするので、各MIDI Outputポートの「同期」だけを有効にします。マスター側の設定は以上です。
スレーブ側の設定

S1,S2ともに、上記のようにMIDI Inputポートの「同期」を有効にします。

メインウインドウに戻り、画面左上にある外部同期スイッチ(EXT)を有効にします。こうすることで、MIDI INから入ってきたクロックに同期するようになり、スタンドアローンで動作しなくなります。スレーブ側の設定は以上です。
MIDI接続

各デバイスを上図のように接続します。

マスターのMIDI OUTが一系統しかない場合は、上図のようにMIDI OUT-MIDI THRUを台数分シリアル(直列)接続しますが、その分レイテンシーが発生しますので、あまりオススメしません。
接続が完了したら、MのLiveのスタートボタンを押してみて下さい。

Mのタップボタン横の同期出力インジケータがBPMに同期して点滅します。S側では同期入力インジゲータがMのクロックに合わせて点滅します。これで同期完了です。おめでとうございます。
Ableton Live三台でライブパフォーマンスする実例
上記の解説だけではアッサリしすぎているので、このMIDIセッティングでライブパフォーマンスをやることも考えてみたいと思います。

もっともポピュラーな方法と思われるのが、各Liveのオーディオアウトをアナログミキサーに立ち上げる方法です。上図の矢印はオーディオ信号の流れを表します。アナログミキサーは多チャンネルかつバスアウトのあるのものが好ましいです。
各コンピュータのLiveトラックをオーディオインターフェイスにパラアウト(あるいはいくつかのバスに分ける)し、すべてアナログミキサーに立ち上げます。パートの抜き差し、エフェクターなどは各コンピュータに接続したMIDIコントローラなどを使うほか、ミキサーのフェーダーやエフェクターなども利用できます。当然、生楽器などをアナログミキサーに立ち上げることもできますので、お手軽でフレキシブルなセッティングだと思います。
Mを指揮者とするラップトップオーケストラの構築

上記のセッティングを発展させ、アナログミキサーに立ち上げた各音源を、Mのコンピュータに戻す手法です。
アナログミキサーに立ち上げた音源をBUS OUTなどを利用して8トラック程度にまとめます。ミキサーにバスがない場合は、S側のLiveでいくつかのバスに分けます。当然、生楽器なども立ち上げられます。

これを、Mのオーディオインターフェイスに戻します。8INくらいあるとよいと思います。ミキサーのバスやフェーダーを使わないのであれば、各音源を直接Mのオーディオインターフェイスに入力してもよろしいかと思います。
上図のように、Mのオーディオインターフェイスの入力チャンネルの録音アームは常にオンにしておき、演奏中に録音可能な状態にします。そうすると、演奏しながらリアルタイムに他プレイヤーの音をセッションビューにサンプリングし、フレーズを新たに構築しなおすことが可能です。モニターをAutoにしておけば、クリップ再生中以外は入力音を出力してくれます。音源はシーケンスでも効果を発揮しますが、生楽器やボーカルなどでより面白いことができそうです。また、各トラックはオーディオトラックとして扱われますので、インサートやセンド/リターンエフェクトも自由に使うことができます。
このセッティングのメリットは、他のラップトップで演奏している各演奏者の演奏をMのプレイヤーが一元的にコントロールできる点です。また、アナログミキサーに立ち上げられた各音源の音を、最終的にMのマスターとして出力できるので、マスターにプラグイン(コンプやEQ)を差して柔軟に出音を調節できる点も大きいと思います。ラップトップの台数が増えてもバスの割り当てをうまくやれば、比較的簡単に全体をコントロールできるので、大規模なラップトップオーケストラも組めそうです。バンドにコンダクター的な存在がいる場合にオススメです。
今回はMIDIシンクにLiveのみを使う例をご紹介しましたが、同じ方法で他のDAWソフトやTraktor、ハードのシーケンサーなど、MIDI同期機能のあるデバイスはなんでも同期することができます。電子音楽は一人バンドになりやすい傾向がありますが、仲間と一緒に演奏すると楽しさも倍増です。ぜひ、お試し下さい。
先日も少しご紹介しましたが、オーディオインターフェイスが一体化したアナログミキサーが各社から発売されており、これらを使うとアナログミキサー・オーディオインターフェイス間の接続を省略できてとても便利だとおもいます。

Mackie ProFX12 (12イン、バスなし、USBインターフェイス)

Mackie Onyx1640i (16イン、4バス、FireWireインターフェイス)
蛇足ですが、ラップトップでバンドをやる際は、各自の役割分担を明確にし、それにあわせてセッティングを決めていくのがいいと思います。また、今回はMIDIのレイテンシーについてあまり触れませんでしたが、最近のMIDIインターフェイスは高速に設計してあるので、MIDIのレイテンシーで悩むことはあまりないかと思います。ただオーディオも絡んでくると、MIDI・オーディオの両方でレイテンシー対策をしなくてはならず、煩雑です。もしレイテンシーで悩んだら、Liveには賢いレイテンシー補正機能がありますので、そちらをご利用いただければと思います。詳しくはLiveのマニュアルをご覧下さい。
今回のようにブログエントリのリクエストをいただけると、書くネタに困らずにすみ、大変助かります。何かありましたらコメントかTwitterでお気軽にご意見をお寄せ下さい。






















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