Alva Noto vs. Ryoji Ikedaのユニットである Cyclo. の10年ぶりとなる新作「id」がリリースされました。期待に胸を膨らませて聴いたところ、胸がはち切れました。ただただ「ズッパシ」の一言。言葉の及ばない領域。
一体どうやって作ってるの?!という素朴な疑問。Amazonに掲載されている解説を引用しますと、
ステレオ信号を視覚的にモニター出来る機材「リサージュメーター」(又は「XYフェーズスコープ」)に独自のプログラムを加え、そのモニターに描かれる「音の波形」を見ながら、作曲、編集、実験を繰り返し、膨大な「音の破片のインデックス」を蓄積し、その音の破片を様々に組み合せながら、cyclo.は自分たちの望む音楽とビジュアルを創造している。
とのことです、映像と音を直結したようなデザインになっているようです。とはいえ、よくある感じの難解な現代音楽とは違い、それこそフロアでそのまま鳴らしても踊れるグルーヴ感。四つ打ちと混ぜても面白い。この辺はAlva Noto色が濃いのかな?という印象。そこにRyoji Ikeda氏の繊細な音響感覚がうまく絡み合い、得も言われぬ独自の音世界を構築しています。言葉で語ろうと努力するほどに空しくなってしまいますので、感想はこのくらいにしたいと思います。とにかく聴いてもらえればと思います。
私は坐禅を組むのが好きでよく坐っているのですが、これを聞きながら坐ると、マジでぶっ飛べますのでお試し下さい。BGMかけながら坐禅組むというのは、お坊さんなんかから見ると邪道なんでしょうけれど。しかし、これはもはやBGMというよりDMT。深く呼吸してるだけでセロトニン神経が活性化しまくり。
一つ注意していただきたいのは、この作品のCDをリッピングする際は、絶対に非圧縮で取り込んで下さい。圧縮音源にすると、著しく音が崩れます。
この作品を、ズッパシチューニングしたFunktion-Oneから爆音で出力すると想像しただけで失禁&失神しそうです。Taicoclub行った方は現場で一体なにが起きたのか、ぜひ教えて下さい。Youtubeに動画アップされてましたけど、むろん全然伝わってこない。当然、その場にいた人しか体験できなかった感覚があると思います。
ここまで繊細な作品が出てくると、どうしてもCDクオリティ(16bit)よりもっと高い解像度で聴いてみたいという欲が出てしまいます。24bitや32bitのWAVなんかも配信してくれるとほんとありがたいですけど…。DVDで観たことある映画をBlu-rayで観るくらい違いがあるかと思います。
話が完全にそれますが、最近、DVDでしか観たことのなかった「2001年宇宙の旅」のBlu-ray版を観たら、DVDとまるで違う作品のように見えました。「神は細部に宿る」とはよくいったもので、キューブリックの偏執病じみた細部へのこだわりが襲いかかってくるようでした。HD画質に慣れたとたん、いままでそんなもんだと満足していたはずだったDVDの画質が粗く見え、耐え難くなってくるから不思議です。音声の世界でも同じことがいえるのではないでしょうか。
安易に、「コンプでダイナミクスを圧縮」&「エンコードによってデータ量を圧縮」と、二重に圧縮された音楽をiPod付属の貧弱なイヤフォンで聴く、というのが当たり前になった現代の音楽スタイル。「それって、昔に比べると便利にはなったけど、むしろ貧しくなったんじゃないか?」と一石を投じたのがMonolakeの「Silence」だったと考えています。Cyclo.の「id」も、それに共通する一種の挑戦が感じられます。だって、ある程度まともな環境で聴かないと音楽として成立しないんだもの。「極力良いリスニング環境できいてね」と音源そのものが語りかけてくるようです。

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